根のある木の彫刻
ハラレの中心から8キロほどのところに、ドゥームエステートという
アート、クラフト、絵画、家具などの店が集まっている小さな公園のような
ところがある。
1980年にイギリスから独立する前は、南アフリカの鉱山に働きに行く労働者が
ここで登録してここから南アフリカに向かう、ウェネラと呼ばれる場所だった。
十代の半ばに兄と来たという友人の話によると、「自分は小さすぎたせいか
許可されず、兄だけが大きなトラックに積まれて鉄道の駅に向かった。」
南アフリカでの仕事はまるで地獄のようだったらしく、ウェネラはスレーブ
トレード(奴隷貿易)場だったと言う。
写真にある建物は、その頃のものである。
この建物に沿って20m以上もある大きな木が並木のように茂っていた。
100年以上も様々な光景を見てきた巨木をよく見上げたものである。
しかし、久しぶりに行ってみると、木は根から1mほどのところでみな
切られ、表面に様々な生き物が彫られていた。
みな作品になってしまったかと見て回ると、根が生きている木からは、
新しい枝が勢いよく噴き出している。
作業着を着た男の人がいたので話しかけると、彫刻したのは別の人で、
自分は根の病気が広がらないように、薬品をしみこませているとのこと
だった。